時代とともに様変わりする定時制高校

今から半世紀近くも昔のことである。
定時制高校はそう珍しいものではなかった。
高度成長の波の中で、十代の若者も貴重な労働力だったし、
家庭の経済力など様々な事情で定時制高校を選択する人も多くはないが
どの中学校にもいたように思う。
私が中学3年だった時のクラスメートにも一人あった、
私は、地方の公立高校に進学したが、
部活を終えて下校する途中その友人とすれ違った。
私は帰宅途中、友人はこれから登校だった。
その友人が定時制高校、
しかも自分の進学した高校に入学しているなどとは全く知らなかった。
同行していた別の友人が、「彼女、市内の大きな文具店で働いているんだよ」と教えてくれた。
のほほんと全日制でお気楽な高校生活を送っていた自分に対して少し後ろめたかった。
そんなできごともすぐ忘れてしまうのんきな高校生だったが、しばらくしたある日、
登校して自分の机の中を探ったクラスメートが「あっ!」と大きな声を上げた。
誰か私の机の中を触っていると・・・。
進学校だったその高校では、英語の辞書など机の中に学校用として誰もが置きっぱなしだった。
それを誰かが使用した形跡がある、気持ち悪いとそのクラスメートは不機嫌だった。
それが定時制に通学している誰かだとみな気づいた。
物を取られたわけでもなし、触るぐらいいいじゃないと私は思ったが声には出せなかった。
第一、私の机というが、定時制の誰かの机でもあるのだからと考えて、はたと思った。
定時制の生徒はどんな思いでこの机を使用しているのだろう。
肩身が狭い思いで遠慮しているのだろうか。
以前下校の途中であった中学の時のクラスメートの顔が浮かんだ。
私は英語の辞書に、使ってくださいとメモを挟んだ。

高校3年間はあっという間だった。
無事に迎えた卒業式。全日制の卒業証書授与が終わって
定時制の卒業証書授与式も執り行われた。
定時制は4年間だから、私と件の定時制の彼女とは一緒の卒業ではなかったが
翌年無事に卒業したと人づてに聞いた。

卒業式に出席した私の母は、いい加減時がたっても
定時制の代表の答辞には泣けた…と言っていた。

同じ学び舎で過ごしながら全く違う高校生活だったのだなと感慨深かった。


現在、縁があって不登校の中学生のフォローをしている。
定時制高校を進学する生徒がある。ほかにも通信制や単位制など様々な選択肢がある。
時代はは変わった。定時制高校も様変わりしている。
それでも定時制高校はなくならないだろう。
その時その時の生徒を受け入れる役割は健在なのだから。